ときどき、山梨県の山間にある小さな村に出かけます。
ここで民家を借りており、自然に親しむひとときを楽しんでいます。
民家のすぐわきには、小川が流れており、家の中はいつもその川の音に包まれています。
庭では、季節ごとに、オダマキ、ユリ、桔梗など、いろいろな野生の花がまるでぱっと目が覚めたみたいに咲きます。
突然、庭にこんな可憐な花が咲いていて、びっくり! |
ここでは、畑を作ったり、草刈をしたり、野草を料理にしたりと、都会ではできない暮らしを楽しんでいます。
サラダに民家の庭で咲いていた赤い花をアレンジしました。 |
トンボや蝶など、最近ではあまり見なくなった虫もよく飛んでいて、懐かしい心地になります。
その朝、ちょっと不思議なことがありました。
民家の中に入ってきた一匹の蝶が、私の左指の人差し指にとまったまま、動かなくなったのです。
左指にとまったままの不思議な蝶さん。 |
茶色の目のような、不思議な模様がある蝶です。
蝶は、何故かすっかり気に入ってしまったらしく、蜜を吸うときの長いストローのような口を伸ばし、人差し指のあちこちに触るので、くすぐったい感じが続きました。
私がじっとのぞき込んでも、
蝶は目をくりくりさせながら止まったまま。
蝶は目をくりくりさせながら止まったまま。
だんだん可愛くなってきて、追い払う気にもなれず、そのままにしてキッチンで朝ごはんを作り始めました。
左手は蝶が止まったまま、右手だけで野菜を切ったり、卵を割ったり。
きっとガスレンジの火をつけ、料理の匂いがすれば、
蝶は飛んでいくだろう……
蝶は飛んでいくだろう……
ところが朝ごはんが出来上がっても、蝶はそのまま長い口を伸ばして、
私の人差し指のあちこちを吸い続けていました。
『でもそこでは蜜は吸えないでしょう、
さあ、自然の中に帰りなさい。』
さあ、自然の中に帰りなさい。』
そう言いながら、庭に出て、蝶を赤い花の上に移そうとしました。
途端に、蝶はまるで夢から覚めたように舞い上がり、
遠くへと行ってしまいました。
遠くへと行ってしまいました。
なんとその蝶は、40分以上も私の人差し指に止まっていました。
もし赤い花の上に移そうとしなかったら、
それ以上の時間になったことでしょう。
それ以上の時間になったことでしょう。
自然と一緒に生きるという言葉が、
指の上のくすぐったさになって残り、
一日中、不思議な、そしてふんわりとした温かさになって、
私を包んでいました。
指の上のくすぐったさになって残り、
一日中、不思議な、そしてふんわりとした温かさになって、
私を包んでいました。
蝶さん、ありがとう!
ときどき自然は、奇跡のような、素敵な出来事を贈ってくれます。